【第5回】アパート建て替えの資金計画|自己資金・ローン・税制優遇を解説

トチカツplus

2026.09.02

この記事のライター・監修者

竹内英二

不動産鑑定士

竹内英二

本記事は「サブリースを見直すときに読む不動産オーナーのための判断講座」としてお届けする連載シリーズの第5回です。 アパートを建て替えるにあたっては、資金計画を立てることも必要です。 具体的には、自己資金をいくら用意し、どのようなアパートローンを組むかを検討していきます。 アパートローンは銀行によってさまざまな特徴があるため、比較検討をしたうえで、有利な条件の銀行から借りることが望ましいです。 この記事では、アパートローンも含めた建て替えの資金計画について解説します。

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Point

  • アパートローンの金利は、住宅ローンよりも高いことが一般的である
  • 自己資金は、建築費の10%程度を求められる傾向がある
  • アパートローンの審査ポイントには、物件の収益性などがある

目次

  1. アパートローンとは
  2. アパートローンを組む際の自己資金の目安
  3. 金融機関の審査ポイント
  4. 建て替えに使える税制措置
  5. 無理のない資金計画の立て方
  6. まとめ

アパートローンとは

アパートローンは住宅ローンとは異なる特徴があります。
最初にアパートローンの概要について解説します。

ローンの対象

アパートローンとは、主にアパートや賃貸マンションの建設資金を対象とするローンのことを指します。 そのため、元々土地を持っている地主が利用するケースが多く見られます。
ただし、銀行によっては、中古アパートの購入資金を対象としたローンを「アパートローン」と呼ぶこともあります。 中古アパートの購入資金が対象となるローンでは、土地購入費もローンの対象に含まれます。

取扱銀行

アパートローンは、都市銀行や地方銀行、信託銀行、信用金庫、ノンバンクなどのさまざまな金融機関が取り扱っています。 とくに地方銀行は地域の名士とのつながりを持つケースも多く、比較的アパートローンに注力していることが多いです。

また、アパートローンは、銀行によって審査基準や金利が異なる点も特徴です。
審査基準は、都市銀行や地方銀行、信託銀行、信用金庫、ノンバンクの順に厳しくなる傾向があります。 一方で金利は低い順から、都市銀行や地方銀行、信託銀行、信用金庫、ノンバンクとなる傾向があります。

借入期間

アパートローンは、借入期間に特徴があります。
建設資金を対象としたローンでは、最長の借入期間が法定耐用年数を限度としている金融機関が多いです。
法定耐用年数は構造によって異なり、下表のように定められています。

構造 法定耐用年数
木造 22年
木造モルタル 20年
鉄骨造(3mm以下) 19年
鉄骨造(3mm超4mm以下) 27年
鉄骨造(4mm超) 34年
鉄筋コンクリート造 47年
鉄骨鉄筋コンクリート造 47年

借入期間は長いほど毎月の返済額を減らすことができますが、最長期間は構造で決まります。 たとえば、木造アパートを建てた場合、借入期間は一般的に最長で22年です。
また、上表とは別に、アパートローンの中には最長期間を35年としている金融機関もあります。
最長を35年としている金融機関では、鉄骨鉄筋コンクリート造で賃貸マンションを建てても、47年間ではなく最長で35年となります。

金利

アパートローンの金利は、住宅ローンと比べると高い傾向があります。
金融機関や借り主の与信(返済能力に対する金融機関からの信用度)によっても異なりますが、一般的には住宅ローンの金利よりもプラス1.0~4.0%程度高くなる傾向があります。
また、金利は金融機関によっても異なる傾向があります。
一般的には、都市銀行や地方銀行などの融資審査の厳しい銀行ほど金利が低く、信用金庫やノンバンクなどの融資審査の緩い銀行ほど金利が高い傾向にあります。

アパートローンを組む際の自己資金の目安

アパートローンを組む際の自己資金の目安


建設資金を対象としたアパートローンの場合、頭金は建築費の10%程度を求められるケースが多いです。 一般的に、都市部の物件であれば、建築費の90%程度を耐用年数以内で借りている場合は、適正な借入の範囲で収まっていると考えられます。
一方で、土地代も含む中古アパートの購入資金を対象としたアパートローンでは、物件価格の30%程度を頭金として求められる傾向があります。
ただし、物件の条件にもよりますが、中古アパートの購入の場合、頭金が30%あったとしても借入過多となるケースがあります。

金融機関の審査ポイント

この章では、アパートローンにおける金融機関の審査ポイントについて解説します。

アパートの収益性

アパートローンは住宅ローンとは異なり、本人の収入ではなく、アパートの収益から返済することを前提としたローンです。 そのため、審査ではアパートの収益性が重視されます。
収益性に関しては、ハウスメーカーが提案するシミュレーション表がそのまま融資審査の提出資料となるケースもあります。
銀行に対する資料の信頼性を高めるためにも、シミュレーション表は家賃収入などが無理のない適切な内容であることが望ましいです。

また、ハウスメーカーによっては、借入金の返済シミュレーション表も提示してくれる場合もあります。返済後の手残りが毎年プラスとなっていれば、基本的には収益性の条件は満たされているものと判断されます。

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土地の担保価値

アパートローンは、いざ返済できなくなった場合、銀行が物件を競売にかけて残債を回収することになります。 アパートローンを返済できなくなるタイミングでは、物件がすでに古くなっているケースも多く見られます。 築年数が古い物件の場合、建物価値がほとんどなく、土地価格しか残らないケースも少なくありません。

そのため、築年数が古くなったときに競売にかけるリスクも踏まえると、金融機関にとっては土地の担保価値が重要となります。
たとえば、立地が良く、面積も広い物件は、土地の担保価値が高い傾向にあります。
土地の担保価値が高い場所であれば、アパートを建てる際の融資審査も通りやすくなります。

不動産オーナーの資産状況・返済能力

不動産オーナーの資産状況・返済能力も、アパートローンの審査対象の一つです。
ほかにアパートや土地などの複数の資産を持っている場合は、いざとなったら資産を売却することで返済できるため、返済能力は高いと判断されます。
そのため、必ずしも本人の収入が多いことが求められているわけではなく、資産家であれば無職でも審査に通りやすい傾向があります。

建て替えに使える税制措置

住宅は建て替えることで、建物の固定資産税を一定期間、減額できる措置があります。
対象となる住宅は、2026年4月1日以降は床面積が40平米以上240平米以下であることが条件となります。 居住部分の面積が1戸あたり120平米までの部分について、下表の期間、2分の1に減額されます。

区分 減額期間
(原則)
減額期間
(長期優良住宅)
3階建以上の準耐火・耐火住宅 5年間 7年間
一般の住宅 3年間 5年間

参考:東京都主税局 「【家屋】5新築住宅の減額は

また、優遇措置ではありませんが、新築すると再び減価償却費を計上できる点もメリットの一つです。
減価償却費は実際に支出を伴う費用ではありませんが、会計上の費用として計上できるため、節税効果が期待できます。

無理のない資金計画の立て方

立地条件にもよりますが、元々土地を持っている人の場合、都市部であれば建築費の1割程度の自己資金を用意すれば、一般的に適切な範囲内での借入になると考えられます。
ただし、近年のような建築費が上昇している局面では、建築費の2~3割程度の自己資金を用意しておくと安全です。
一方で、郊外の場合は、立地条件にもよりますが、建築費の3割以上の自己資金を用意することが望ましいといえます。

まとめ

以上、アパートの建て替えの資金計画について解説してきました。
金融機関によって金利や融資基準が異なるため、比較して条件の良い銀行を探すことをおすすめします。 建築費を対象としたアパートローンの場合、自己資金は建築費の10%程度を求められる可能性があります。 アパートローンの審査では物件の収益性が重視されるため、ハウスメーカーから根拠のあるシミュレーションを受領しておくことが望ましいです。
アパート・マンションの建て替えの資金計画について知りたい方は、下記よりお気軽にご相談ください。

この記事のライター・監修者

竹内英二

不動産鑑定士

竹内英二

不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、住宅ローンアドバイザー、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。
土地活用と賃貸借の分野が得意。賃貸に関しては、貸主や借主からの相談を多く受けている。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容には執筆者の解釈や見解が含まれる場合があり、正確性や完全性を保証するものではありません。
具体的な判断や行動にあたっては、必要に応じて専門家へご相談ください。

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