空き家対策特別措置法(空家等対策の推進に関する特別措置法)により、空き家が管理不全空き家に指定され、その後勧告を受けると土地の固定資産税が上がります。 管理不全空き家は比較的新しい制度であるため、まだ聞いたことがないという方も多いかもしれません。 管理不全空き家は、特定空き家よりも指定要件が緩やかに設定されているため、以前よりも空き家が対象となりやすく、結果として固定資産税が上がるケースが増えています。 この記事では、こうした背景を踏まえ、「管理不全空き家の固定資産税」について解説します。
Point
- 管理不全空き家は勧告を受けると土地の固定資産税が上がる
- 空き家を放置し続けると他人に危害や迷惑を与える可能性がある
- 空き家対策は状況に応じて管理や賃貸、売却、土地活用が考えられる
-
目次
管理不全空き家とは
管理不全空き家とは、適切な管理が行われておらず、放置すれば将来的に「特定空き家」に指定されるおそれのある空き家のことです。
管理不全空き家は、特定空き家に指定される前段階として位置づけられている空き家です。
特定空き家とは、倒壊など著しく保安上危険となるおそれのある状態など、一定の要件を満たす空き家のことです。 特定空き家制度は、2015年に施行された空き家対策特別措置法で創設されましたが、指定要件が厳し過ぎたことからうまく機能しませんでした。 そこで、2023年に空き家対策特別措置法が改正され、新たな規制対象として創設されたのが管理不全空き家制度です。
管理不全空き家は、特定空き家の手前の段階で指定される制度であり、特定空き家よりも指定要件が緩和されています。 これにより、自治体が早期に指導・助言を行いやすくなり、空き家対策特別措置法の効果が高まることになりました。
国土交通省によると、2023年以降の管理不全空き家の指導件数と、特定空き家の助言・指導件数は下表の通りです。
| 年 | 管理不全空き家 の指導 |
特定空き家の 助言・指導 |
|---|---|---|
| 2023年 | 666件 | 4,278件 |
| 2024年 | 2,545件 | 4,026件 |
出典:国土交通省 「空家等対策の推進に関する特別措置法の施行状況等について」
特定空き家の件数には大きな変化が見られない一方で、管理不全空き家の件数は、2023年に制度が創設されたことで急激に増加していることが分かります。
管理不全空き家になると固定資産税が上がる理由
住宅が建っている土地は、原則としてその家に人が住んでいるか否かに関わらず、固定資産税の住宅用地の軽減措置が適用されます。
住宅用地の軽減措置とは、土地の上に住宅が建っていることを理由に、土地の固定資産税が軽減される制度のことです。
管理不全空き家に指定された土地は、最初に行政から指導を受け、それでも改善が見込まれないと勧告を受けます。
管理不全空き家として勧告を受けると、住宅用地の軽減措置が適用されなくなり、土地の固定資産税は大幅に増加します。
具体的には、200平米以下の土地であれば4.2倍程度、200平米を超える土地では3~4倍程度に上がるのが一般的です。
空き家の放置リスク
この章では、空き家を放置するリスクについて解説します。
他人に危害や迷惑を与える可能性がある
空き家は放置されると、ゴミが不法投棄されたり、放火や犯罪のアジトにされたりする懸念があります。
また、瓦や雨どいが落下して、通行人などに怪我をさせてしまうことも考えられます。
景観にも悪影響を及ぼすため、近隣住民からクレームを受けるといった問題も生じます。
資産価値が下がるリスクがある
空き家を放置すると資産価値が下がるリスクがあります。
建物は、定期的な換気や通水を行わないと家の中にカビや臭気が発生し、価値が落ちてしまうことが一般的です。 腐朽が著しい空き家は、そのままでは売却できず、場合によっては取り壊さないと売れないこともあります。
資産価値の下落は、売却期間が長期化するだけでなく、解体費用や修繕費用といった余計なコストを生み出す結果にもつながります。
行政代執行に至る懸念がある
放置された空き家は、土地の固定資産税が上がるだけに留まらず、最終的には行政代執行と呼ばれる処分により、行政によって取り壊される可能性があります。
取り壊し自体は行政が実施しますが、その費用は所有者の負担となります。
管理不全空き家は、管理の是正が行われないと、その後は特定空き家に指定されます。
特定空き家に指定された後、助言や指導、勧告、命令といった処分に従わないと、行政代執行によって空き家が強制的に取り壊される仕組みです。
つまり、空き家を放置し続けると、固定資産税の増加だけでなく、最終的には解体費用まで負担するリスクがあるということです。
今考えるべき現実的な空き家対策
空き家は状況に応じて、管理や賃貸、売却、土地活用といった対策が考えられます。
この章では、空き家を放置しないために、今考えておくべき現実的な選択肢について解説します。
適切な管理を行う
空き家は適切な管理がなされていれば、基本的に管理不全空き家に指定されることはありません。 適切な管理とは、月に1~2回程度の頻度で清掃や換気、通水、見回りなどを行うことを指します。
相続した空き家を倉庫代わりに使用していて、とりあえずそのまま保有しておきたい人も多いと思います。 保有を希望する方は、適切な管理を継続していくことが現実的な選択肢です。 なお、近年は空き家の管理サービスを行っている会社もあるため、遠方にある空き家でも管理のみを依頼することが可能です。
賃貸に出す
立地が良く、かつ建物の状態も良好であれば、そのまま賃貸に出すことも可能です。
賃貸に出せばそもそも空き家ではないため、管理不全空き家に指定されることはありません。
また、一定の要件を満たせば、マイホーム借上げ制度が利用できる可能性もあります。
マイホーム借上げ制度とは、JTI(一般社団法人移住・住みかえ支援機構)に空き家を貸し出し、JTIが実際の入居者を探して転貸する仕組みです。
売却する
立地や建物の状態により、賃貸や土地活用が難しければ、売却が現実的な選択肢となります。
実際に売れるかどうかは、不動産会社に査定を依頼することで判断できます。
売却にあたり、取り壊しやリフォームが必要か否かも、不動産会社が査定時にアドバイスしてくれることが一般的です。
不動産会社の査定は無料で行うことができるため、まずは現状のままで査定を依頼するところから始めるとよいでしょう。
土地活用をする
空き家が賃貸経営できる立地にある場合、建物を取り壊したうえで、新築による土地活用を行うのも一つの方法です。 新築にすれば空き家問題が解消されるだけでなく、新たに大きな収入の機会を得ることができます。
近年は世界的にインフレ傾向が続いており、実物資産を保有する人が資産を増やしやすい環境になっています。 インフレでは、実物資産の価値が上昇する一方で、現金の価値は相対的に下がるため、必ずしも売却して現金化する必要があるとは限りません。
土地活用については、施工会社が無料でプラン提案してくれることが一般的です。
まずは気軽に相談しながら、収益性やリスクを検討していくことが望ましいといえます。
まとめ
以上、管理不全空き家と固定資産税の関係について解説してきました。
管理不全空き家に指定され、勧告を受けると住宅用地の軽減措置の適用が無くなり、土地の固定資産税が3~4倍程度上がります。
また、空き家を放置することで、他人に危害や迷惑を与えるリスクや、資産価値が下がるリスクがある点についても確認しました。 空き家対策としては、適切な管理や賃貸、売却を行う以外にも、土地活用を行うという選択肢もあります。
今後のインフレ時代を見据えると、実物資産である不動産を活かす土地活用は有効な選択肢といえるでしょう。 管理不全空き家の固定資産税や今後の対応についてお困りのことがあれば、下記よりお気軽にご相談ください。
この記事のライター・監修者
不動産鑑定士
竹内英二
不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、住宅ローンアドバイザー、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。
土地活用と賃貸借の分野が得意。賃貸に関しては、貸主や借主からの相談を多く受けている。
竹内英二さんの記事一覧
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
内容には執筆者の解釈や見解が含まれる場合があり、正確性や完全性を保証するものではありません。
具体的な判断や行動にあたっては、必要に応じて専門家へご相談ください。
CONTACT
まずは気軽にご相談ください
- 相続の悩みを聞いてほしい!
- 土地活用について
相談したい! - 事業継承について
相談したい!
お電話でのご相談・
お問い合わせ
受付時間 10:00~17:00(水曜・日曜定休)


