土地活用で物流倉庫・事業拠点を建築するメリット・デメリットは?注意点も解説

トチカツplus

2024.08.01

この記事のライター・監修者

竹内英二

不動産鑑定士

竹内英二

近年のライフスタイルの変化に伴い、賃貸需要が高まっているのが「物流倉庫」です。 物流倉庫は、インターネット通販が広く普及したことから賃貸と購入の需要がともに強まっており、物流拠点も大型化しています。 物流倉庫に適した土地は極めて希少性が高く、物流適地は高値で取引されていることから、もし、物流倉庫に適した土地を所有している場合には、物流倉庫の土地活用がおすすめです。 本記事では、「物流倉庫」の土地活用について解説します。

Point

  • 物流倉庫は、高速道路と都市部の両方にアクセスしやすい広い土地が適している
  • 物流倉庫の土地活用は、将来性がある
  • 物流倉庫は、実績豊富な施工会社に相談することが第一歩となる

目次

  1. 物流倉庫とは?トランクルームとの違い
  2. 物流倉庫に適した土地
  3. 物流倉庫を設立するメリット
  4. 物流倉庫を設立するデメリット
  5. 物流倉庫を運営するための注意点
  6. まとめ

物流倉庫とは?トランクルームとの違い

物流倉庫とは?トランクルームとの違い


本記事で解説する倉庫は、近年需要が高まっている大型倉庫です。
倉庫には大きく分けて「倉庫業を営む倉庫」と「倉庫業を営まない倉庫」の2種類があります。 いわゆるインターネット通販で商品の流通や保管に使用される大型倉庫は、倉庫業を営む倉庫です。

倉庫業とは、寄託を受けた物品を倉庫において保管する事業のことを指します。
倉庫業を始めるには事業者が倉庫業法に基づく登録を受けることが必要であり、物流倉庫の土地活用とは登録を受けた倉庫事業者に建物(倉庫)を貸すことです。
倉庫業は他人の物を責任もって預かる事業であり、倉庫も品質や安全性を維持するために一定の設備を備える必要があります。

一方で、倉庫業を営まない倉庫とは、いわゆるトランクルームのことです。 トランクルームは、物を預かるのではなく、保管場所を貸しているだけと解釈される土地活用になります。

物流倉庫経営による土地活用|詳しくはこちら >

物流倉庫に適した土地

物流倉庫に適した土地

この章では、物流倉庫に適した土地について解説します。

土地が建築できる用途地域内にある

倉庫業を営む倉庫は、建築可能な用途地域が定められています。 用途地域とは、一定のエリアごとに建設可能な建物の用途を制限した規制のことです。
倉庫業を営む倉庫を建築できる用途地域は、以下の通りです。

【倉庫業を営む倉庫を建てられる用途地域】

  • 準住居地域
  • 近隣商業地域
  • 商業地域
  • 準工業地域
  • 工業地域
  • 工業専用地域

対象地が上記以外の用途地域に含まれている場合、倉庫業を営む倉庫は建築できないことになります。

高速道路と都市部の両方にアクセスしやすい

近年賃貸需要が強い物流倉庫は、インターネット通販に利用される大型倉庫になります。 大型倉庫は、高速道路と都市部の両方にアクセスしやすい立地が適しています。 東京圏や大阪圏といった大都市の近くにあり、かつ、高速道路のインターチェンジへアクセスしやすい場所が物流適地となります。

東京圏でいうと、千葉県の市川市にある東京湾岸沿いの工業地帯が物流倉庫のメッカです。 東京湾岸沿いの工業地帯は大消費地である東京都に近く、交通アクセスも良いことから大型倉庫が多く建ち並んでいます。

面積の広い土地である

インターネット通販に利用される大型倉庫は、大きな敷地が必要です。 土地の広さとしては、3,000~4,500坪程度の広さが標準的な規模となります。

近年は広い土地が減りつつあるため、やや狭い土地でも倉庫が建つケースも出始めました。 ただし、狭い土地といっても、1,200坪程度の広さは必要です。 1,200坪程度で高速道路へのアクセスが良ければ、場合によっては物流倉庫の土地活用ができる場合もあり得ます。

物流倉庫を設立するメリット

この章では、物流倉庫のメリットについて解説します。

将来性がある

物流倉庫は、土地活用として将来性がある点がメリットです。
現状を踏まえれば、インターネット通販はこれからさらに市場が拡大していく見込みが強いといえます。

大きな家賃収入が得られる

物流倉庫は建物が大きいことから、その分家賃も大きく、大きな家賃収入が得られる点がメリットです。 一棟貸しであることから、収入も安定しています。

維持費の負担が少ない

物流倉庫は、維持費の負担が少ないです。
軽微な修繕費用は借り主負担とすることができ、管理会社に管理を委託する必要もないことから、管理委託費用も削減することができます。

物流倉庫を設立するデメリット

続いて、物流倉庫のデメリットについて解説します。

条件に見合う土地が少ない

物流倉庫を建てるには、大規模な土地が必要となります。
条件に見合う土地は希少性があり、チャンスのある人は少ないという点がデメリットです。

投資額が大きくなる

物流倉庫は巨大な建物になることから、投資額が大きくなる点がデメリットです。
投資額が大きい分、借入金も増えるため、借入金返済リスクも上昇します。

退去時の影響が大きい

一棟貸しの物流倉庫は、退去時の影響が大きいです。
規模が大きく高い賃料収入が得られる反面、退去してしまうと、次の借主が見つかるまで家賃収入がゼロ円となってしまいます。

物流倉庫を運営するための注意点

この章では、物流倉庫を運営するための注意点について解説します。

実績豊富な施工会社に相談する

物流倉庫の土地活用をするにあたり、最初に注意したいことは、実績豊富な施工会社に相談することです。 物流倉庫は一棟貸しが多いことから、借り主となる倉庫事業者ありきで計画を進めていきます。 つまり、借り主は竣工後に募集するのではなく、着工前に決める必要があるということです。

一棟貸しの土地活用の場合、一般的に借り主は施工会社が誘致してくれます。
実績豊富な施工会社は、多くの倉庫事業者とのコネクションを有するため、賃料などの条件が良い借り主を見つけやすいです。 また、物流倉庫の施工実績が多い会社は、施工の質も高くなります。

事業者を賃料だけで選ばない

倉庫事業者を選ぶ際は、賃料だけで選ばないように注意しましょう。
大きな投資を伴う物流倉庫は、退去リスクを最大限に回避する必要があります。 無理に高い賃料を払い、すぐに退去してしまうような物流事業者は避けるべきです。

とくに近年は、物流業界に2024年問題が生じており、物流業界全体が厳しい業務改善を迫られています。 2024年問題とは、物流業界に時間外労働の上限規制が2024年4月から適用されることで、人材不足やコスト増が生じる懸念がある問題のことです。

2024年問題に対処していくには、倉庫内のオートメーション化が欠かせません。
倉庫事業者を選ぶときは、実績や経営状況のみならず、オートメーション化の取組なども考慮しながら選ぶことが適切です。

着工前に予約契約を締結する

一棟貸しの物流倉庫では、工事の着工前に必ず予約契約を締結することが必須です。
予約契約とは、着工中の契約解除の防止と竣工後の賃貸条件を確定するために行う契約のことを指します。 大きな投資を伴う物流倉庫では、工事の着工から竣工までの間に倉庫事業者から賃借をキャンセルされることは極力避けなければいけないため、予約契約を必ず締結するように注意しましょう。

スターツグループの土地活用フローはこちら >

まとめ

以上、物流倉庫の土地活用について解説してきました。
物流倉庫とは、一般的に倉庫業を営む倉庫のうち、大型倉庫のことを指します。 物流倉庫に適した土地は、高速道路と都市部の両方にアクセスしやすい広い土地です。
物流倉庫のメリットには「将来性がある」や「大きな家賃収入が得られる」等、デメリットは「条件に見合う土地が少ない」や「投資額が大きくなる」などが挙げられます。

物流倉庫を運営するには、「実績豊富な施工会社に相談する」や「事業者を賃料だけで選ばない」を留意することが大切です。
物流倉庫の土地活用に関心のある方は、下記よりお気軽にご相談ください。

この記事のライター・監修者

竹内英二

不動産鑑定士

竹内英二

不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、住宅ローンアドバイザー、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。
土地活用と賃貸借の分野が得意。賃貸に関しては、貸主や借主からの相談を多く受けている。

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