不動産投資の税務調査とは?調査が入る可能性のある人とやっておくべき対策を解説

トチカツplus

2024.10.30

この記事のライター・監修者

竹内英二

不動産鑑定士

竹内英二

不動産投資で大きな取引を行うと、税務調査が入る可能性があります。 とくに大きな損失が発生して節税ができるようなケースでは、税務調査が入りやすいです。 突然訪れる税務調査に備えるには、普段から適切な対策を実行しておくことが必要となります。 税務調査はどのような流れで行われ、対策としては何が効果的なのでしょうか。 この記事では「不動産投資の税務調査」について解説します。

Point

  • 税務調査は所得の大きい人や変動が激しい人に来る可能性が高い
  • 税務調査によって追徴課税があれば延滞税も発生する
  • 税務調査は不動産に詳しい税理士と顧問契約しておくなどの対策が効果的である

目次

  1. 税務調査とは
  2. 不動産投資で税務調査が入る可能性のある人
  3. 税務調査の流れ
  4. 不動産投資における税務調査対策
  5. まとめ

税務調査とは

税務調査とは、納税者が正しく税務申告を行っているかを国税庁が調査することです。
税務調査は個人と法人のいずれに対しても行われ、個人の場合は不動産投資などで賃貸経営を行っている資産家に対して行われる場合があります。 調査の対象となれば、国税庁の職員が自宅や会社に出向き、本人または経理担当者へのヒアリングおよび資料の確認などが行われます。

税務調査は税務署が必要と判断した場合に行われるものであるため、不審な点がなければ実施されることはなく、税務調査を一度も経験しない人も多いです。

不動産投資で税務調査が入る可能性のある人

この章では、税務調査が入る可能性のある人について解説します。

所得の大きい人

税務調査は、基本的に所得の大きい人に入る可能性が高いです。
所得が少ない人に税務調査が入っても、元々の納税額が少ないことから、追加で徴収できる税金も大きくはないといえます。 税務調査を行うには、税務署にも時間とコストがかかるため、所得の大きい人に調査に入って大きな追徴課税を取らないと費用対効果の面から割に合いません。
そのため、不動産投資で税務調査に入られやすい人は、地主の人や大きな物件を保有している投資家に限られる傾向があります。

所得の変動が激しい人

所得の変動が激しい人も、税務調査の対象になる可能性が高いです。
たとえば、前年度の所得が3,000万円で、今年度の所得がマイナス5,000万円のように変動が激しい場合は、税務調査されやすいといえます。 とくに大きな赤字を出して節税するようなケースでは、税務調査に入られやすいです。

赤字を出して行う節税は怪しまれる傾向があり、税務調査によって本当に赤字なのかの調査が行われます。
不動産投資の場合、物件の購入や売却、建物の除却(取り壊し)をすると所得が大きく変動しやすいです。 そのため、建物の除却などの大きな取引を行ったときは、税務調査が入る可能性が高いといえます。

過去に税務調査が入ったことのある人

過去に税務調査が入ったことのある人は、税務調査の対象になりやすいです。
そもそも税務調査は、所得の大きい人に入られやすいため、所得の大きい人は何回も経験します。逆に標準的な所得の人であれば、税務調査に入られることは少ないといえます。

税務調査の流れ

税務調査に入られやすい人は、資産家の方が多いです。
資産家は確定申告を税理士に依頼して行っていることが多いため、ここでは顧問税理士がいる個人を前提に税務調査の流れについて解説します。

顧問税理士経由で連絡が来ることが多い

顧問税理士がいる人の場合、税務調査は顧問税理士を経由して連絡が来ることが多いです。
税務署から税理士に対して連絡があり、税務調査をしたい旨が伝えられます。

税務署は税務調査をしたい日を指定してきますので、顧問税理士を通じて日程調整を行います。 税務調査は、顧問税理士に連絡が入った日から、概ね1週間前後で行われることが一般的です。

経費を説明できる書類の準備

税務調査の連絡が入ったら、税務調査に備えて経費を説明できる書類の準備をしておきます。
顧問税理士がいる人の場合、必要な書類は顧問税理士から指示されることが多いです。 具体的には、過去数年間分に渡る領収書や支出の記録、計算の根拠が分かる資料などを用意しておきます。

税務調査当日

税務調査の日程が確定したら、税務調査当日を迎えます。
顧問税理士がいる人の場合、税務調査当日は顧問税理士が立ち会いしても問題ありません。
顧問税理士は調査を受ける本人(投資家)の味方ですので、必要に応じて税務署職員に対し説明や反論を行ってくれます。 そのため、税務調査当日は顧問税理士にも同席してもらうことが望ましいです。

個人投資家の場合、税務署からは1~2名が調査に訪れます。 税務調査は、午前中から午後にかけて1日がかりで行われることが多いです。
当日は、主にヒアリングや書類の確認が行われ、追徴課税の必要性などの判断は、その場では行われません。 書類も税務署の職員が預かって一旦持ち帰りますので、追徴課税の有無は後日に告げられることになります。

追徴課税があれば納税する

追徴課税の有無は、税務調査から概ね1ヶ月後に連絡が入ります。
顧問税理士がいる人の場合、税務調査後は顧問税理士が税務署と掛け合い、追徴課税が生じないように尽力してくれることもあります。

残念ながら、追徴課税がある人の場合は、すぐに修正申告を行って納税することが必要です。
納税は、不足している税金だけでなく、延滞税も加算されます。

不動産投資における税務調査対策

不動産投資における税務調査対策


この章では、不動産投資における税務調査対策について解説します。

領収書および記録を残しておく

税務調査に備えるには、普段から領収書および記録を残しておくことが必要です。
とくに領収書がない支出(たとえば、交通費や通信費)の場合には、自分でメモした記録が重要な証拠となります。 税務調査では領収書がない支出が問いただされることが多いため、記録は重要です。

管理委託料を相場の範囲内にしておく

私設で管理会社を作り、その管理会社に管理委託料を支払っている場合、管理委託料は相場の範囲内にしておくことが対策です。
管理委託料の相場は、家賃の5%程度となります。
また、管理会社を通じて入出金を行うなどの管理の実態を残しておくことも必要です。

親族に給与を与える場合は実態に見合ったものとする

親族に給与を与える場合は、実態に見合ったものとすることも対策です。
実際には何もしていない親族が給与をもらっている場合、その経費は否認される恐れがあります。

不動産に詳しい税理士と顧問契約しておく

税務調査対策は、不動産に詳しい税理士と顧問契約しておくことが最も効果的な対策です。
不動産に詳しい税理士は、万が一の税務調査に備えて、普段から適切な経理処理をアドバイスしてくれます。 たとえば、管理委託料や親族への給与をいくらにすれば良いかなどの助言が期待できます。

また、税務調査が入ったときも一緒に戦ってくれますので、非常に心強いです。
個人投資家の場合、相続税に強い税理士が不動産に詳しいため、おすすめとなります。

まとめ

以上、不動産投資の税務調査について解説してきました。
税務調査が入る可能性のある人は、「所得の大きい人」や「所得の変動が激しい人」などです。 税務調査は、顧問税理士を経由して連絡が入り、ほぼ1日かけて調査が行われます。
不動産投資における税務調査対策としては、「領収書および記録を残しておく」や「不動産に詳しい税理士と顧問契約しておく」が効果的です

税務調査が入る可能性の高い人は、普段から準備をしておくことが望ましい姿といえます。
不動産経営に関するご相談は、下記よりお気軽にお問い合わせください。

この記事のライター・監修者

竹内英二

不動産鑑定士

竹内英二

不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、住宅ローンアドバイザー、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、中小企業診断士。
土地活用と賃貸借の分野が得意。賃貸に関しては、貸主や借主からの相談を多く受けている。

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